離婚したい人が別居するメリット・デメリット・注意点について

離婚に向けた別居、もしくは、離婚するべきかどうか悩んだ末の別居、いずれにしても別居することにはメリットとデメリットがあります。あらかじめそれらを知った上で別居するかどうかを判断しましょう。






別居することによるメリット

・配偶者によるストレスから解放される
・離婚が認められやすくなる
・子供を連れて別居すると親権を得やすくなる
・子供の名字を変えずに済む

配偶者によるストレスから解放される

別居するメリットとしてまず挙げられるのは、配偶者によるストレスから解放されるという点です。離婚したいほど嫌な相手と暮らすことは、言うまでもなく大きなストレスですし、その状態が長期間に及ぶと、心身共に壊れてしまいます。

また、配偶者からDVの被害に遭っている場合には、自分や子供の安全を確保できることも大きなメリットの一つです。

離婚が認められやすくなる

話し合いでの離婚(協議離婚)であれば、別居の有無を問わずお互いの同意があれば離婚することができます。しかし、相手がなかなか離婚に同意してくれないなどの場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立てすることになり、調停で決着が着かない場合には審判や裁判へと移行します。
離婚審判や裁判となった場合、家庭裁判所が離婚を認めるのは、下記のような法律上の離婚事由に該当する場合です。

・相手の不貞行為(不倫)
・相手による悪意の遺棄(生活費を渡さない、一方的に別居するなど)
・相手の生死が3年以上不明(連絡などが一切なし)
・相手が重度の精神病で回復の見込みがない
・その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合

「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、夫婦関係が破綻していることを意味し、別居はそれを判断する要素となるのです。ただし、別居をしただけですぐに「夫婦関係が破綻している」とみなされるわけではなく、一般的には5年程度の別居期間が必要だとされてます。つまり、相手に不倫やDVなどといった明らかな落ち度がない場合でも、約5年間別居することで、法的に離婚が認められるというわけです。

その一方で、もし自分が離婚の原因を作った側(有責配偶者)である場合、離婚を望んで別居しても法的には原則離婚は認められません。下記の状況を満たす場合には有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もあります。

相当長期の別居期間を経ている
・未成年の子供がいない
・離婚することによって、一方の配偶者が精神的・金銭的に過酷な状況に置かれない

「相当長期の別居期間」とは婚姻期間の長さなどによって大きく異なりますが、最低でも7年~8年、一般的には15年程度だとも言われています。

子供を連れて別居すると親権を得やすくなる

離婚後の子供の親権を獲得したいのであれば、子供を一緒に連れて別居しましょう。
未成年の子供がいる場合、離婚する際には必ず父親か母親のいずれかを離婚後の親権者として決めなければなりません。双方が親権を希望する場合は、ここで親権争いが発生するというわけです。

離婚調停となった場合、「子供の環境をできるだけ変えないことが望ましい」という家庭裁判所の考えから、子供と同居している親の方が親権を得やすいのです。

子供の名字を変えずに済む

離婚に踏み切る際に気がかりなのは、やはり子供のことですよね。
離婚によって、家庭環境が変わることに加えて、途中で名字が変わってしまう事への懸念もあるかと思います。
離婚後も女性が元夫の姓を名乗り続けることはもちろん、戸籍上も元夫の姓にすることが可能ですが、そのようなことはほとんどの女性が望まないですよね。

そのため、離婚による子供へのダメージを少なくするために、ひとまず別居をして、子供の進学などに合わせたタイミングで離婚を考える方も多いものです。

生活費を配偶者から受け取れる

離婚してしまえば、元配偶者と言えども他人ですので、子供へ養育費の他に受け取れることができるお金はありません。しかし、婚姻している状態であれば、別居中でも配偶者から「婚姻費用」として生活費を受け取ることができるのです。この金額は、双方の話し合いで自由に決めることも可能ですが、一般的には「婚姻費用算定表」を目安に決定されます。
「婚姻費用算定表」は、夫婦の年収・子供の年齢と人数・就業形態が考慮して家庭裁判所が作成したものです。

今後についてじっくりと考えることができる

お互いに離れて暮らすことで、「本当に離婚するべきなのか」ということをじっくりと考えることができます。もしかしたら、感情的になり過ぎていただけで、修復する可能性もあるかもしれませんし、反対に、離婚への決意が強まるかもしれません。

離婚届はいつでも出せるので、まずはじっくりと時間をかけて考える時間を作ってみてはいかがでしょうか?



別居することによるデメリット

・不倫の証拠を集めにくい
・財産分与の証拠を集めにくい
・不倫がバレて別居すると慰謝料が増額する

不倫の証拠を集めにくい

もし配偶者に不倫などの明確な落ち度がある場合、慰謝料を請求するにはそれを証明する証拠が必要です
同居していれば、配偶者の持ち物やクレジットカードの明細など、さまざまなところから証拠を得ることができますが、別居してしまうと、証拠集めが非常に難しくなります。

財産分与の証拠を集めにくい

離婚時に行う財産分与は、「別居時点の財産」が多分の対象となります。
しかし、別居すると元々住んでいた家に無断で入ることができなくなるので、相手の収入や財産を把握することが難しくなります。

特に、購入した持ち家の場合は、その資産も確認しておく必要があります。マイホームは、財産分与のうちの大きな割合を占める資産ですので、資産と価格をしっかりと把握しておきましょう。

別居後に不動産業者による査定も可能ですが、一度別居してしまうと内覧することができなくなります。内覧をせずに査定すると、実際の不動産価格よりも高くなるケースが多く、いざ財産分与をした際に「思っていたよりも、もらえる金額が少なかった」というリスクがあります。

不倫がバレて別居すると慰謝料が増額する

不倫など、自分自身に明らかな非がある場合、無理やり別居を強行することによって、慰謝料が増額されてしまう可能性が高くなります。
不倫(不貞行為)に対する慰謝料の請求に加えて、配偶者の反対にも関わらず別居してしまうと、「悪意の遺棄」にも該当し、その分請求される慰謝料が増額してしまうのです。

「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく一方的に別居することを言います。法律で「夫婦は同居して、経済的に助け合って協力しなければならない」とされているにもかかわらず、一方的に別居することは「身勝手な別居」だとみなされてしまい、調停となった際に不利な立場になってしまいます。


自身に非がある場合は別居するべきではない

上記で触れたように、不倫など明らかに自身に非がある場合には、離婚を急ぎたいあまり別居したくても、これ以上不利な状況にならないように同居を継続することをおすすめします。
不倫やDV、悪意の遺棄などを行った側は「有責配偶者」とみなされて、離婚調停となった場合でも自分の主張は通らなくなり、離婚への道はますます遠のいてしまいます。なぜなら、有責配偶者を家庭裁判所は助けてくれないからです。

しかし、このような八方塞がりの状態でも、逆に「夫婦円満」を目指すことで再び離婚に向かうことも可能です。そもそも、不倫などの証拠の効力は永遠ではなく3年が目安だとされていますし、夫婦円満の証拠によって配偶者が「相手の非を許した」ことを証明できるからです。

自身の立場がどうしようもなく不利になってしまった場合には、このようにして嵐が過ぎ去るのを待つことが、結果的に近道となるのです。

別居には正当な理由が必要

「離婚したいから」と感情的に別居に踏み切ってしまっては、結果的に自身が不利な立場になってしまいかねません。では、どのようなケースの場合に別居が認められるのかと言うと、具体的な例は次の通りです。

・配偶者が不倫している
・配偶者からDV、モラハラを受けてる
・配偶者に多額の借金がある
・配偶者が拒否することによるセックスレス  など

別居する前に準備するべきこと

仕事や生活費の確保

別居する前に、あらかじめ別居後や離婚後の生活に関するお金についてシミュレーションしておくことで、心の準備をしておきましょう。
専業主婦の方は、まずは仕事を探すことが必要ですよね。もし現在仕事をしていても、家賃や光熱費、食費なども支出が、収入を下回るようにしなければ生活は成り立ちませんので、必要であれば転職も検討しなければなりません。

別居中の住まいを確保する

自分の実家に戻って生活するのであればいいのですが、そうでない場合にはアパートやマンションを借りて生活することになります。その際にかかる毎月家賃はもちろん引っ越し費用や、敷金・返金などのまとまったお金も用意しておく必要があります。

もし、家賃7万円の物件に引っ越す場合にかかる初期費用は、下記の通りです。

・新居にかかるお金:約42万円(家賃7万円の場合)
・引っ越し代:約1万3500円~3万円
・家具、家電:約15万円

賃貸物件に入居する際にかかる初期費用は、毎月の家賃の他にも敷金や礼金、火災保険などの費用もかかるため、一般的に「家賃の5~6か月分」だと言われています。

私が別居した際の引っ越しは、赤帽を利用しました。一般的な引っ越し業者を利用するよりも格段に安いので、引っ越し費用を抑えることができます。ただし、運転手の方1人で引っ越し作業を行うため、大きな家具や家電などの移動はできません。さらに、積み込める荷物の量も限られますので、心配な場合は見積もりの際に相談してみましょう。

子供の預け先を確保しておく

保育園や学童保育など、仕事中の子供の預け先を確保することも必要です。
認可されている施設に途中から入ることはかなり難しいので、初めは認可外の施設を利用しつつ、認可の施設に希望を出しておくことも一つの方法です。

浮気やDVの証拠を集める

慰謝料を請求する場合、相手が認めない場合はそれを証明するための証拠が必要となります。ですので、配偶者に不倫やDVの事実があるのであれば、同居しているうちに証拠を集めておきましょう。
不倫の証拠としては、LINEやメールなどのやり取りやクレジットカードの明細などが有効である場合が多くあります。
DVの証拠としては、傷やケガの写真に加えて、病院を受診した際の医師の診断書も有効です。

ただし、現時点でDVを受けている場合には、我慢せずにできるだけ早く別居して身の安全を守りましょう。

財産分与のために夫婦の財産を把握する

結婚している間に貯めたお金や、購入したマイホームや車は、全て夫婦の共有財産となります。先ほど上記でも触れたように、離婚時の財産分与は「別居の時点」を基準として行いますので、別居する際はあらかじめ夫婦の共有財産を確認しておきましょう。
夫婦のどちらか一方の名義になっていても、結婚している間に得たものは共同財産だとみなされます。

「婚姻費用分担請求調停」を申立てする

先ほども触れたように、別居中でも夫婦にはお互いに助ける義務がある事から、配偶者から婚姻費用として生活費を請求することができます。請求できるのは別居を開始してから離婚するまでの期間ですが、過去にさかのぼって請求することはできませんので、なるべく早く調停を申立てしましょう。

また、婚姻費用の金額は家庭裁判所が作成した「婚姻費用算定表」をもとに決定され、夫婦の年収や子供の年齢、人数などによって異なります。
ただし、婚姻費用は収入が多い側が負担するものですので、もし配偶者よりも収入が多い場合は請求することはできません。

婚姻費用の計算シミュレーションでは、夫婦の年収、雇用形態、子供の年齢、人数を入力するだけで婚姻費用査定表に基づく婚姻費用を簡単に算出できます。
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算定表に基づいた婚姻費用計算シミュレーター

別居中の生活費を確保!婚姻費用分担請求とは?

「離婚調停」を申立てする

話し合いで解決できれば、それに越したことはないのですが、離婚を希望しているにもかかわらず平行線で話が進まないという場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立てしましょう。離婚調停とは、2人の調停委員が間に入って行う話し合いの場ですので、基本的には弁護士に依頼せずに申立てすることが可能です。ただし、相手が弁護士を立ててきた場合にはこちらも弁護士に依頼することをおすすめします。
ちなみに、離婚調停は上記の「婚姻費用分担請求調停」と同時進行することもできます。

離婚調停の流れと期間は?早く有利に進める方法

弁護士なしでも離婚調停はできる?メリット・デメリットまとめ


別居する際の注意点

別居中でも子供の面会交流は行う

DVや連れ去りなどといった心配がなければ、別居中でも離れて暮らす配偶者と子供との面会交流は行いましょう。「子供を会わせたくない」と言う気持ちになるかもしれませんが、子供にとっては夫婦の問題は関係のないことで、一番の被害者は子供だということを忘れないでください。別居中もきちんと面会交流を行うことで、調停となった際も調停委員の心証が良くなるはずです。

別居中の不倫で離婚に不利になることも

別居中は、自分の立場が不利になるような行動は避けるようにしてください。
配偶者に落ち度があって別居したのだとしても、「不倫したくて別居したのでは?」と思われてしまい、離婚話が不利な方向へ進んでしまいます。取れるはずの親権が取れなくなったり、慰謝料の支払いが発生する可能性が高まるので、注意してください。

まとめ

「離婚したい」と思った時、双方の話し合いでまとまれば別居する必要はありませんが、相手が離婚に応じてくれなかったり、子供がいるなどですぐに離婚することが難しい場合は、別居も選択肢の一つとして検討してはいかがでしょうか?離婚問題はケースバイケースですので、もし現状の夫婦関係から本気で抜け出したいのであれば、一度弁護士などの専門家に相談し、最善の方法を探すことをおすすめします。






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